8/20/2016

ITU-220という技術の申請時に突き付けられた現実

「FM放送は、今後発展する事が無い分野です。それに今後、FMの技術、ましてやFMステレオの技術が何かに応用される事は決して有りません。実用新案にはなりませんが、それでも登録すると言うのならば止めません」

通常、担当者がこのような事を言うのはまず無いのですが、ショックでした。特許と言うのは、申請登録はおろか、一定期間毎に管理費が必要になります。日の目を見る事になれば良いのですが、そうで無い場合、延々とそれを特許としての地位に留める為、お財布から出費となるのです(割と高額)。

なんだか最近、自分のやっている事が本当に分からなくなりましたが、担当の方にこのように言われて、何となく目が覚めた気がしますね。FM放送を続けている国自体、発展途上国のような見方をされ、全てをデジタル化した国を先進国と呼ばれると言うのが事実上、正しい風潮になりつつあります。AM放送なんて論外ですもん。

ITS-220は、実質、今までのFMステレオ方式において、ステレオドロップを根本的に排除する工夫が成されています。つまり、必然と申しましょうか、 それゆえ、低音部分が若干難有りですが、CDの音声周波数の全てを完全に乗せる事が可能です。ただ、CD自体も既に時代遅れ。

ITS-220の特徴は、受信機は今までの物に完全互換を保ちます。ITS-220規格で送信された信号を受信するだけでそのまま、ステレオ放送が聴けるのです。19KHzフィルターが入ってないパイロット漏れ漏れ受信機を使用する場合、CD音質になります。 ただ、音質(音声周波数特性)を改善したい、とした目的は一切なく、「FM放送をITS-220で送ると、真に遺憾ながらCD音質になってしまいます」と 言った不可抗力なのです。でもねCD音質ってのはどうでもよく、ステレオドロップでして、乗せる音声に加工するのではなく、19KHzを工夫。

しかし、FM放送がステレオドロップしたり、ジャリジャリっといった音が発生した事で、それに対して文句を言うのは、一部のマニアだけですので、商業的には問題視されない部分だったりします。 研究するのが10年ほど遅かったようです。残念!