6/29/2017

2連ボリュームが嫌いです

いきなりタイトルがネガティブキャンペーンMAXですが、嫌いです(笑)。本当に嫌いです。多少は音質が落ちても良いので、ピタっと左右の音量調整が±0.01%以内に収まっていないと気分悪いです。

一応はアルプス電気のこういうのとか東京光音のこういうのとかがあるのですが、この方々ですら嫌いです。特にステレオアンプにおいて、反時計周り一杯に回すと音量がゼロになり、時計周りに回すと音量がアップするのですが、大抵はゼロから少し上げたくらいで皆さん使用されると思います。

皆さんお持ちのアンプで是非試して頂きたいのが

まず音楽を普通にCDプレーヤーなどで再生させておきます。ボリュームを少しずつ本当に少しずつ上げて行き、左右両方から同時に音が聞こえ出したならば相当優秀ですが、どちらか片方から音が出始めて音量が上がっていくのが、この2連VRの気になる品質だったりします。

それが嫌なのです!

通称、この2連VRのその左右の特性ズレを、ギャンギングエラーと呼んでいますが、どんなに精巧に設計されたVRでも必ず発生するのです。


左側にあるのが2連VRです。そして、ピシっと揃った固定抵抗を並べて、各ポイントから2連ロータリースイッチにて取り出すのが、固定抵抗アッテネーター(右側)です。私としては右側が好きなのですが、もちろん、右側でも問題は無いのですけど、この回路でしたら5段階の音量調整になるのです。しかし、2連VRなんかを使うよりも精神衛生上、非常に落ち着けます。また、この形式は、特にオーディオをやってらっしゃる方などが採用されていますわね。もちろん、その方々がこの抵抗ネットワーク式を使う理由は、私と同じかは分かりませんが。

因みに私はピュアオーディオ志向ではありません。

私の場合は、周波数特性としては50Hz~15KHzくらいまでフラットならばそれでOKです。S/N比も70dB程度あれば満足。何だったら低音は若干歪んでいてもOKですし、高域は波形が潰れていてもOK。そういう人であります。

しかし

音量調整におけるこの左右の特性ズレだけは駄目です。とは言っても、冒頭で紹介しました1個数千円もするブルジョアなポテンショメーターを使用するのも何となく違います。違いますと言うのはそもそも、そんな高級でピュアなオーディオを構築するわけでもなく、何だったらもうLM386とか、NJM2073レベルのチープな回路で使うわけですので、何となく一部分だけやたらと高級な部品と言うのもしっくり来ません。

ユニクロのパーカーとジーンズで、上下合わせても50$程度のファッションで、靴もノーブランド。でも腕時計だけはロレックス(10,000$)。乗ってる車が軽トラック。と言ったような変なバランスでありますのと同様ですわね。

そこで登場です!

2ch ステレオオーディオアンプ、音量調整はDC制御

APA2068 (台湾製)

日本で買う場合はこちら。eBayでもあります。


背面部分に放熱用の金属部分がありますので、↑このように変換基盤をそのまま使うと言うのは若干怪しいですけど、まあ大丈夫でしょう。なかなか良い感じのするお手軽アンプですわね。抵抗100Ω程度を出力部分に直列挿入しますと、ヘッドホンアンプにもなりますし、13番ピンのSE/BTL端子をHにすれば通常のGNDを基準としたアンプ出力に、GNDに落として、つまりはLにすればBTL出力になりますので、通常のスピーカー時にはBTLモードに、ヘッドホンに切り替える場合にはSEモードにと言った事も出来ます。そして、音量調整は、DC電圧一本。2連VRからは開放されます。特に応用をしないのならば、データーシートに記載されている回路でOKでしょう。

と言う事で今回は、ちょいと変り種ICを紹介しました。

単体でこういった事をさせる場合にお奨めなのは、東芝のTA7630Pですわね。トーンコントロールもDC制御可能なICですが、こちらもいずれは紹介していきましょう。


[追記]

おさもう1/9/17 20:45
ウェブでこう言うのを見つけました。二連ボリュームの補正が出来るようです。

http://www.op316.com/tubes/tips/tips21.htm (Archive.org)

普段ボリューム使用しない自分ですが今度実験してみようかと思います。

と言うコメントを頂きました。

身の回りの色んなエナジーを吸収する超絶技術

タイトルが大袈裟ですが、要するにエネルギーハーベスティングテクノロジー。正確には、マイクロエナジーハーべスティングテクノロジー。いやもう、長くて嫌がらせのような覚えにくさ満天ですので、エナジーゲッツシステムとかでもいい気がしました。

エネルギーハーベスティングテクノロジー
Energy Harvesting

簡単に言うと、身の回りには天然人工問わず、色んなエネルギーが飛び交ってます。私の家でも構築してます太陽光発電(ソーラー)システムもその一種。宇宙空間も周辺の一部ですので、その彼方にある太陽からの光エネルギーを捕まえて、電気に変換しています。

風力発電や地熱発電、潮流発電、水力発電、いわゆる自然エネルギーを得ると言うのも、エネルギーハーべスティングだったりしますね。そもそも、ハーベストとは、捕獲すると言う意味のEnglish。余談ですが、身の周りにいるガチムチの男子、ボンテージ女子など、それらがもしあなたの活動源になるならば、その男子女子をゲットする事はエネルギーハーべスティングと言えます。ジョークのつもりで書いてますが、意外とスジが通ってます私偉い!( ̄▽ ̄)。

とまあ、大義としては、何かを取得してエネルギーへの転換を行う事を指すようですが、実質的な義としまして、自然界に飛び交っている何らかのエネルギーを受け取って、又は捕獲して、それを電気エネルギーへと変換転換する技術の事をEnergy Harvesting Technologyと呼んでいます。実際、ワイヤレスパワートランスフォーム、つまりは、非接触電力転送も最近のモバイル端末では浸透していますよね。あれも技術的にはこれです。

で、まあ古くから身近にある物としましては、鉱石ラジオも実は、この技術の一員だったりします。空中を飛び交うラジオ電波を、コイルとコンデンサーの共振特性にて集中的に集めて、それを鉱石であるゲルマニウムへと導くと、ラジオの音がそのまま再生されると言う物です。

ここで誤解されている方が多いのが、鉱石ラジオは、別名、無電源ラジオや電源不要ラジオと呼ばれる事があります。しかし、その言い方だと、後に全体の詳細原理を説明する場合には矛盾が発生しますので、あまり宜しくありません。

鉱石ラジオ

厳密には、鉱石検波器式ラジオです。

実は鉱石ラジオは、電源不要ではありません。実際には電源が存在します。それは、実際に空中を飛んできた電波そのもの。それが実質的な電源にもなっています。なので、電源不要と言う言い方ではなく、電池不要、としたほうがまだ良いでしょう。



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失礼。この記事、実はオチありません^^






6/24/2017

AMトランスミッター『菊水』を1000円以内で作ろう~

尚、菊水の基本は、音響処理などは一切排除し、最も最低限の構成ですので、これだけを使ったからと言って、流石に一般放送局の音がそのまま手に入る訳では有りませんので、ご留意下さい。

ラジオ受信機よりも簡単な構成のラジオ送信機。この世で最も簡単に作れるAMラジオトランスミッターです。簡単に作れると言ってもそれは、オモチャレベルではなく、放送局品質とまでは言いませんが最低限、実用に耐えうる品質を基準としています。尚、品質を更に落として、歪もうが何しようがとにかく音が乗れば良い、という部分にまで基準を落とす場合は、適当にYouTubeを探すと、作っている方々が多く居ます。ですが私は、実用レベルと言うのが最低条件であります。







回路を見て頂くと分かりますが、発振器回路ICの16ピンにご注目。ここには本来、このICを動作させるのに必要な電源(VCC)が接続され、規定の5Vが供給されます。しかし、この回路では電源からは変調トランスを介して16ピンに入れています。そして、トランスの1次側には、LM386オーディオアンプの出力が接続され、このトランスの2次側を通過する電源電圧を直接上下させて、振幅変調を実現しています。本来ならば、発振器の後に、プリドライバー、ファイナル回路と続き、AMの場合はファイナル回路(理想はプリドライバー段も含めて)に対して変調制御を行いますが、元々が水晶発振である事から、余程で無い限り、周波数がずれる事はありません。よって、このような回路でも充分にAMを実現可能なのです。但し、これと同じような発想で、コルピッツLC発振回路、PLL, DDSなどに用いますと特性がズレまくり、周波数がずれたり、そもそも歪んだりしますわね。

[魅惑のムービー]

https://drive.google.com/file/d/0B4-VyBLOuHgeejZmVjJPd1N5QkU/view

どうですか?耳の良い人ならば、おや?なかなかではないかい?ってお墨付きを得られると思います。

動画について、OPTIMODは使用していませんが、単純なフルバンドコンプレッサーリミッター(自作のVGA方式のやつ)を使用しています。また、受信機はSONYのCXA1619チップを使用して作りましたアナログ受信機であります。

つまり、菊水送信機→CXA1619→皆様が聞いている音

になります。

[更に簡単に]


レベルメーター回路は不要だ~、って場合はこれでOKであります。

[更に更に簡単に]


オーディオアンプ部分なんて不要だ~、って場合はこれでOKです。お手持ちのお気に入りアンプのスピーカーラインを、変調トランスへと直接ぶち込んで下さい。あなたのアンプがBTLだったとしても大丈夫。トランス1次側の2線は、そのままアンプの+と-に接続出来ます。

[更に更に更に簡単に]


オーディオアンプなんて持ってません。尚且つオーディオアンプ回路を作るのが面倒です。PCのヘッドホン出力ならあります。

そんな時は、トランスを1:1で、600Ω:600Ωなどのライントランスを使えば、もしかすると行けるかも知れません。

因みに、私の調べた限りでは、実用レベルの品質(周波数安定度、変調品質)を保った上で、尚且つ世界で最も簡単に、入手性がとても良い部品のみを使って作れるラジオ送信機は、この菊水シリーズであります(このブログ執筆時点)。一言言わせて頂くと、実用レベルである一般的なスーパーヘテロダイン方式のラジオ受信機を作るよりも簡単であります。

[PCB配置の一例]


プリント基板を作成しても、ユニバーサルPCBでももちろんOKです。何だったらもう部品同士をそのまま配線する木の板上に空中配線で作ってもOK。扱うのは発振回路では20MHzが絡みますが、凡そは1MHz程度ですので、多少は引き回しても大丈夫で、特に発振回路は配線さえ間違わなければ、99%、誰でも発振させる事が出来ます。トランジスターで作るコルピッツ発振回路なんかよりもよほど簡単に発振させる事が出来るのも、今回採用しましたロジックインバーター式(ゲート式)の良い所であります。

LPFが存在していないように思えるかもしれませんが、出口にあるマッチング回路にて、それを同時に再現しています。

[主要な部品

74HC4060 (\40)
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-08607/

LM386 (\60)
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-10583/

ST-32 (\540)
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-09618/

変調トランスとして用いる8Ω:1200Ωのトランスは、日本製ですと\540となかなか高価ですので、2次側が2KΩ以内ならば、他の安い中国製トランスでも使えます。今回紹介しましたのはあくまで日本国内の入手先です。

[使える水晶


USING XTAL     > Output Frequency

18MHz          > 1125KHz
18.432MHz      > 1152KHz
20MHz          > 1251KHz(closer)
20.045MHz      > 1251KHz(closer)
23.040MHz      > 1440KHz
10.368MHz     > 648 kHz

12MHz          > 750KHz
12.8MHz        > 800KHz
16MHz          > 1000KHz
20MHz          > 1250KHz
24MHz          > 1500KHz


[アンテナ部分にある100p~250pトリマーは?]

このトリマー、又はバリコンにより、1mのワイヤーにマッチングを行います。本当はRF計やRF表示回路があれば良いのですが、菊水では可能な限り部品点数を減らしている為、この調整も凡そで行いましょう。適当に音楽でも流して、音割れが最も少ないところに調整してください。RFプローブ、電界強度計(正確な物でなくとも、電波強弱が見れたらそれでOK)を持っている場合は、最大出力点に合わせます。

[発振回路の説明

どうしてこれでAM放送バンドの電波が得られるのかを簡単に説明します。まず中枢であるHC4060と言うICはとても古くから存在するICであります。主に時計のクロックなどもこのIC一つと水晶発振子だけで生成できてしまう便利なICなのです。簡単に言うと、発振器とプログラマブルディバイダー(分周器)が1パッケージに内臓されており、比較的安価に入手性も良い素敵MAXなICなのです。本来は基準クロックを作り出すICなのですが、高周波的に見ますと、凡そ、中波ラジオバンドを出力する場合、なんと、50Ω負荷でも約100mWもの信号を出力します。なのでとても使い易いICなのです。

では内部を見ていきましょう。


これが4060の内部構成です。左側にはゲートユニットが内臓されておりまして、これにコイルとコンデンサー、又は水晶発振子を付けるだけで基準クロックの生成は完了。本日の残業は無しです。

そして、その発振した信号は、内部の次のユニットである、分周ユニットに入ります。ここから、

このような分周をします。分周とはつまり、入ってきた信号のクロックを間引く事を言いまして、分かりやすく言えば、何分の一するか、ってやつです。予めその、何分の一するかは内部で選択肢が用意されています。それが上のクロックチャートになります。今回私が利用したのは、赤く囲った部分ですわね。RSは発振した信号。16回振幅をカウントしたら、Q3には1回の振幅が出力されます。つまり、発振周波数の1/16の信号がここに出てきます。クロックチャートの見方は、基本的には、クロックの立下りを見ます。Q4の端子を使う場合、発振周波数の1/32の信号が出力されます。応用される場合は参考にして下さい。で、このQ3の端子に出てくるのは、16MHzを発振した場合は、1/16ですので1MHz、つまりは1000KHzの信号が出力されます。本来はそれをプリドライブ段とファイナル段にて増幅し、それど同時にそこに音声による信号の上下を付け加えて、AM波を作ります。正しくは、DSB-WC(搬送波付両サイドバンドの)信号になります。がしかし、菊水ではこの発振器の電圧自体に振幅変調を掛けています。電源電圧の違いはそのまま、出力端子に現れます。詳細は割愛しますが、大まかにはこれで振幅変調が出来上がります。後はマッチング回路を経由して、アンテナ線に給電されますが、同時に、フィルターとしての特性と、更にはマッチング回路でもあります。マッチング回路と言うのは同時に、短縮アンテナ回路にもなります。短いアンテナでも効率よく電波を発射できますが、そうは言いましても、中波バンドの電波の波長から理想的なアンテナの長さは180mにも達しますので、180mアンテナを使用するところにたったの1m程度のアンテナを使うのですから、マッチングが取れたとしても今度は輻射効率と言うパラメーターでは犠牲になります。しかしこれでも10m程度はサービスエリアになるとは思います。日本国の微弱電波の範囲に余裕で治まる事請け合い。私個人としては100mほどは余裕で飛んでほしい所ではありますが^-^;。

[トランスの1次側2次側

厳密に言いますと、一般的なトランスは、減衰比で表しますので、私の「2次側が2KΩ以内ならば」と言う表現は間違いです。がしかし、回路構成上、音声入力側が8Ω、そして変調と言う目的側が1200Ωと言う事から、便宜上、1次側、2次側を逆に表記しました。なので、実際にトランスをお求めになる場合、片側が2KΩ以内、もう片方が8Ω付近のトランスならば、どのような物でも使える、と捉えてください。


今回のような用途では、逆に捉えても全く問題は有りません。それは、流す電流が非常に低い(5V / 100ミリアンペア程度)ので大丈夫なのです。これがもし、AC110V電灯線などの高圧を扱う場合には(数アンペア)注意が必要であります。

なぜ電灯線では問題になるかは

単純に、抵抗負荷と消費電力と発熱の関係で捉えます。100Vを10Vに降圧するトランスの場合は、巻き数比もそれに近くなります。実際にこの巻き数やオーム数ではありませんが、ここからは表現として分かりやすい例えにしますが、

100回巻き : 10回巻き

これでAC100V → AC10Vへの降圧を達成させています。では、10回巻き側にAC100Vを繋げば、反対側の100回巻き側には10倍1000Vが出るのか、と言うと、答えは「Yes」です。

しかし、それでは危険なのです。

理由は


こういう事でありますわね。




6/10/2017

ジャンカーとしてのあるある

仕事の帰りにリサイクルショップや処分場を通りかかった時、なかなか良い物が置いてあるのに気付いて、車で来ていなかったのでそのまま持って帰る事が出来なかったのでオーナーに「これ、キープで宜しく」と一声かけて、翌日にでも拾いに行くのですが、

ジャンク好きとしましては、ある程度の活用を事前に脳内で構築します。

例えば、音響アンプが捨ててあったとしましょう。雨ざらしになってて、ボディーは錆びていたり。そうしますと当然、動作しないと言うのが前提で向き合います。かろうじて部分的に生きているならば、その部分のパーツを取り出して、流用したりするのです。このジャンクから取り出した物を使って何を作ろうかしら…アレもいいよね、これもいいよね、と、場合によっては設計図や回路図まで事前に考えておき、ワクワク感MAXになります。可動部分は確実にアウトになっているだけだろうから、それはそれでまた別の流用を、と言った具合いにです。

しかし

翌日それを取りに行って持ち帰り、通電テストをとりあえずやってみた時、




普通に動作したらその日のテンションはマイナス値に到達します。何だったら、クレーム入れたくなります。




「おい!さっき買ったこのジャンク、不具合だ!初期不良だ!」




店「どうしました?」




「通電したら問題なく動作したぞ!ちゃんと品質管理できてるのかお前んとこは!」




店「あ、ちゃんと動作しましたか。それは初期不良ですね。今すぐ取り替えます」




という会話が発生してもおかしくないですもん。ジャンクはジャンクだからこそ価値があり、そのまま動作されると困ります!…ってのが今回の話題でした^-^;。




実際に私からクレームを入れる事はありませんよ^-^;。