10/09/2017

AMラジオ送信機~小豆6号機(完成)

まず、色々と技術部などで、贈呈先はもしかして自分?俺?あたい?わっち?おいら?我輩?とか色々と言われていますのでここでハッキリさせておきますが、違います。前々から言ってますように、ツイッターフレンドさんへの贈呈でありますわね。とは言っても今回は贈呈と言うわけではなく、交換という形になりそうです。当ブログにも時々コメントして下さってます『おさもう』さんであります。単なるツイッターフレンドと言うより、普通にフレンドさんと言った感じでありますわね。



当初は交換という事には成っていなかったのですが、おさもうさん曰く、「単に一方的に頂くには申し訳ないので、自分も何か作って交換という形は如何ですか?」と言ったよう事をおっしゃりやがられまして、そうなりました。で、交換とは何か、と言いますと、実際には私からはラジオ送信機とその他諸々(通常の受信機や広帯域SDR受信機)を差し上げ、おさもうさんは、

実は既に完成されていますが
この素敵MAXなヘッドホンアンプ(ディスクリートでっせディスクリート)、私にくれるのです。私のもんじゃー(o→ܫ←)b☆イェー♪

ディスクリートというのを特にn技のやつらが聞くと、若干オカルト扱いに成り、例の個人製作&販売のアンプが購入者のヘッドホンを壊してしまうって一件を思い出されるでしょうが、ディスクリートです。

ただまあ、当初は、「私の小豆シリーズで良い物、納得できるものが出来たら差し上げます」って言いました通り、当然、そうならなければボツリヌス菌なわけです。もう確定事項のように、セコセコとおさもうさんがヘッドホンアンプをサクサク作っておられるのを横目で見つつ、私のほうはあくまで実験、試作でありました。何時ものような私の日頃の製作で、試作機として最終的には廃棄処分するような物をそのまま贈呈する、つまり、「捨てるなら誰かに上げれば良いじゃん」と言った感じとは違い、実は以前から悩んでおりました事の解消が目的でありました。それは、

あのクッソ複雑で、製作しても一発で動作する事が無さ過ぎる飛鳥と名づけたラジオ送信機シリーズを二度と作りたくは無く、かと言って新規に設計をしました回路を実際に作りたくなる、そういう時、いつもの木箱に如何に組み込むかと言う事に悩んでおりました。

要するに、どうすれば作りやすく、製作時の負担を軽減できるかを実際にアイデアを一つ一つ試して行くのだぁー

って事をするのが今回の小豆シリーズの本質でありメインであります。ここまででお分かりの通り、完全に私自身のスキルアップを目的としております。実験で実際に試作した物が出来て、それが私の中での品質基準を上回った場合、その試作機、要りますか?って声をかけたのが、おさもうさんであります。

で、贈呈する事を決めたのは、もう一つ理由がありまして、それは、例のジンクスを久し振りに検証し、統計として蓄積させたい、って所ですわね。石川さんとの間ではそのジンクスは全く働く事はなくオカルトで終わってますが(と言うかジンクスとは間逆で親交が深くなりました^-^;)、その他の方々は割とこのジンクスにガッツリハマっておられますので、贈呈する事で関係破綻に至る率のほうがまだ高い、と言った統計なのであります。こういうバカバカしい非科学的な事を信じているわけではありませんが、統計が物語る事は科学であり、それに基づいての結論としては、そのジンクスは私の中ではまだまだ「事実」として根付いております。

話を戻しましょう。

以前までは、木箱の側面に基板を取り付ける形で、フロントパネルの設置を容易にしていたのですが、そうしますとかなりの配線が必要になりまして、盛り蕎麦、ラーメンのような状況になるわけです。これを、最低限、まきまきウンチ君にしたいのです…(←ふぁ?いや、意味分からないです)。しかも製作後はメンテナンスがし辛く、ちょこっと変更しようと思うと半分以上の配線を取り除かなくては奥の方まで届かないなど、

二度と作りたくない!

って感じだったところ、お友達でもあり変態の象徴である我がブログのサブリーダーの短波倶楽部(ツイッター上での名称)の石川さんに、ボソっと言われた事が展望となりました。いや、石川さん自身もこの事については、ご自身が変態である事以外、恐らくその重要性には全く気付かれもされていない自覚もされていないのですが、私にとってはその一言が革命でありました。

それが

「立体配置って無理でしょうか??」




今まではこのように側面に基板を配置しておりました。

これが飛鳥初号機。基板の裏側が本機の前面パネルです。

そう、空間を立体的に使う事で、事前にしっかりと基板配置等をCADなどでデザインしておけば、前面パネルからスペーサーを使う事で、基板を前面パネルから一定の距離で浮かせる事が出来るわけです。いやまあ、別に石川さんに言われなくとも何れは気付いたでしょうけど、上記初号機はまだ基板を浮かせて固定するのにネジへの直付け方法を用いていますが、この後でスペーサーを使用するに至ります。

つまり、基板の裏側にある前面パネルに設置するスイッチ類にアクセスするには、この基板を固定している前面パネルのスペーサー固定ネジを外しさえすれば、全ての基板が持ち上がり、裏側のメンテナンスが可能となります。

じゃあ側面配置とどう違うかと言いますと、まだ試作機としては複数に分離して基板を作っておりますけど、完全に動作が容易な回路になれば回路を基板1枚に収束する事が出来るのです。つまり基板と基板の間の配線が不要になるわけです。これだけでもかなりの進歩であります。

【電源の問題】

今までは私の独自開発しました10MHzの変換効率98%の2次元可変速スイッチング電源(特許は申請していません)を用いていたのですが、実はその電源、非常にコストが掛かるのです(1台500$程度)。それに、問題となるグランドループ問題を解決出来ていません(効率重視)。そこで今回は電源そのものを考え直しております(実際にはまだ継続的に研究中)。

そこで、一応これを執筆時点で小豆送信機に同梱する電源システムは、一般的な降圧トランスを使用し、その後の安定化部分で、スイッチングを使う事で、トランスが吐き出す事の出来る電流容量を100%に近い効率で使用する、という案。降圧スイッチング式です。かつての時代には、降圧トランスの後に整流を行い、安定化回路にはツェナーとトランジスターを組み合わせたドロッパー式と呼ばれる物が一般的でした。これは、例えば降圧されて整流され、非安定直流25Vから15Vを安定化出力させる場合、この10Vが全て熱に変わってしまいます。熱に変わってしまった分は当然、実際に危機を動かすのには使えません。単に熱になるだけです。しかしこれでは、限られた記帳な降圧トランス出力の半分程度しか使えない事になりまして、非常に無駄であります。そこで、変換効率が90%を超えるスイッチングレギュレーターの出番なわけです。

さて、効率の問題は解決です。しかしこの時点ではまだグランドループ問題は解決しておりません。実はAMラジオ送信機はこのグランドループが結構問題になります。送信される電波に、このループによって「ぶーーーーーーーーん」と言うノイズが発生してしまうのです。解決するには、送信出力を100W以上に上げると言うのがありますが(パワーで押し切る)、別に海賊放送局を作るわけではありませんのと、ATTで減衰させて使うとしても結果的に一緒ですので、小電力送信状態という前提の上で解決しなくてはなりません。

【グランドループ】

物凄く簡単に言いますと、


さて、このような構成があったとします。mVは各機器のGND電位。実はこの電位の違いがグランドループを発生させてしまうわけです。勿論、送信機が絡むとこれに共振現象などが介入し、非常に複雑になりますが、まずこの電位の違いから、増幅回路がある機器ではその電位差を増幅してしまうわけです。更に、共振現象が発生しますと、それによって発生する信号まで増幅してしまいます。一般的にはポケットラジオなどが上記のループ、つまりループ状態のアンテナに対して共振する事でもノイズを発生させてしまいます。電源インピーダンス、信号インピーダンスの違いからも発生します。

で結論から言いますと、

GNDを少なくとも高周波的に分離すれば良いんじゃないっすか?

であります。高周波的に分離するには、そのライン内のインピーダンスを高くして経路を構成すれば良い事になります。実際には、数mHのチョークコイルなどを解すと達成可能ですが、チョークコイルが数mHにもなりますと、直流的な抵抗も発生しますので、その抵抗値が今度はコモンモードノイズなどを誘発させたり。どんどん対策しましょう。

高周波的な分離回路、コモンモードフィルターで打ち消し、更にローバスフィルター、更にはEMフィルター、更に究極なのが、

もうオーディオ信号ラインも分離!

今回、これら全ての対策を確実に嵩じた事で、グランドループ問題はほぼ解決であります。で、これを執筆時点ではまだ、オーディオ信号の分離はまだ製作しておりません。とは言ってもこれは一般的には、アイソレーショントランスフォーマー一つでOKであります。要は、送信機と物理的にオーディオラインを分離させれれば良いのです。トランスによる転送が簡単ですが、拘るのでしたら光りデジタルラインを構築しましょう。

【電源ユニットがサイズ違い】

このスペースに収める為に基板サイズを合わせたつもりが、計測ミスで基板サイズが大きいです。

やり直したのがこちらであります。うん、ピッタリ(←正しく計測したんだから当然)

何だか若干中身が汚く成ってしまいましたわね。

さて、この電源基板ですが、スイッチング周波数は実測では175KHzです。スイッチング電源回路でこのスイッチング速度と言うのはちょいと心持たないのですが、実はラジオ送信機と言うこともありますので、数MHzの物は信号干渉が発生し、今度はそれによってキュルキュル音が発生する場合もあります。なので、まあ理想は300KHz程度なのですが、無難なところで175KHzにしました。チップはLM2596で、ループインピーダンスを下げて、更にスイッチングフィルターを追加しています。これにより、本来のLM2596とは違って能力的には若干犠牲になってますが、それでも変換効率は90%前後でありますわね。

基板の背面には、銅箔テープによるベタGNDを形成していますが、実はこれをする意味があるの?という質問をされている方を時々お見かけします。うん、分かります。しかしGNDというのは非常に重要で、特に高周波回路では顕著になります。実際175KHzについては高周波とは言えませんが、それでも不要輻射は発生するのです。スプリアスについてはスイッチングフィルターで除去していますが、基板背面をオープン状態にしておくと、やはりそういう余計な輻射が発生します。発生するだけなら良いのですが、出力電圧の品質にも若干影響与えます(具体的にはフィルターを飛び越えてしまう)。

実際に比較して見ましょう。

背面に銅箔テープを貼らなかった場合

銅箔テープを貼ってそれをGNDに接続した場合

いや、私もここまでの効果があるとは予見していませんでしたので、思わず声に出して笑ってしまいましたが(笑)。

【完成】

とまあ、色々と上辺だけを出しました。技術的な事はまとまり次第に公開しますね。

最後に、私からの贈呈品の特徴としましては、拡張部分に至って全ての付属品を付ける、というのが信条。電源ユニットもそうですが、オーディオケーブルも二重シールドタイプの物を同梱。電源ケーブルもあり。アンテナも有り(写真には写ってない)。時にはMP3プレーヤーも追加で内臓させたりする時もあります。で、まだ製作に至ってませんが、受信機もセットです。

でもひとまずは送信機のほうはこれでプロジェクト終了となります。実は私用の小豆7号機は既に基板は出来ていますので、後は部品乗せるだけなのであります。最終的には前面パネルにあるネジを黒く塗るなどの細かい仕上げが残ってますけど、それについては失敗する事の無い作業でありますので安泰ですわね。というより今回、失敗率が低い事も、今後の製作に活かせる収穫でありました^-^;。

どーーん。うん、良い感じですわね。私用のも、この感じにしましょう。

電源ユニット側にも電源スイッチを付けてしまいましたので、送信機本体の電源スイッチが役立たずになってしまいましたが、まあ良いでしょう。

電源ユニットの中身はこんな感じ。フィルターだらけですわね(笑)。電源ランプは、いにしえのネオン管。電源トランスは使用したパーツの中で、単品で最も高価な物でありますわね。この小さな電源ユニットボックスは、小豆本体よりも重たいのです。

放送システムに欠かせないのが、音量を自動的に一定以内に抑えて窮屈なサウンドを作り出すコンプリミッター。そして、OPTIMODなどに搭載されているラジオっぽさの真髄である、フェイズスクランブラーも搭載。

変調レベルと、アンテナマッチング計をスイッチ切り替えでアサインできるメーター。