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4/25/2017

コンプリミッターを作ろう(1)

放送局のシステムとして、このコンプリミッター(Compressor & Limiter)と言う装置は、送信装置の次に重要であり、用いていない放送局は皆無と言われるほどです(法律で明確に使用を前提とされている)。

どういう物かと言うと、よく言われるのが、音量を圧縮する装置。ところがこの言い方だと少々分かり辛いので、

最大音量100%としますと、当然、音量を上げれる限界も100%という事になります。しかし、特にトーク番組だと、人によってはやたらと声の小さい人が居たり、やたらと声のでかい人が居たりします。ミキサー卓で逐一それらを調整していては、到底追従できません。仮にそのような方法をとっていたとしても、突然大声で笑い出したりテンションMAXになったりした場合、急いで音量を下げる事は出来ても、冒頭の数秒程度は過剰音量状態になります。

そこで、

100%を超えるレベルの音が入ってきた場合、自動的に音量を下げ、又は、10%程度しか無いような小さい声をぶっちゃけこの100%近くにまで上げる、と言う動作をリアルタイムに行ってくれる装置がコンプリミッターです。

実際の放送局ではOmnia , Optimodなどの放送局用に設計された装置を使用しますが、今回考えるのはそういった本格的な物ではなく、限りなく簡単にしかも500円以下で作ってしまえないか、と言う部分を目指します(予定です)

※Omnia, Optimodは正しくは音響効果装置、エフェクターではなく、電波に音を乗せる変調器です!

【動作】

音量を自動的に制御するのが基本動作です。

100%という最大音量を超過させない制限の中で、出来るだけ大きな音を乗せると言う動作をさせましょう。

【設計】

音量を調整する時に何を使いますか?
ポテンショメータ(ボリューム)です。


1970年代製造の年代物ですのでかなり荒れてますが、こういう物がポテンショメータと呼ばれる物です。

回路図で表すとこのようになります。

これを一般的にオーディオに用いる場合は

このように使います。ボリュームを回す事で、AB間、 BC間の抵抗値が変化し、AB : BCの比率の通りに信号量が分割されるわけです。等価回路を見てもらうと分かると思いますが、Aから入ってきた信号は、R1とR2の比率によりBへと出力されます。

R1が10KΩ、R2が1KΩだとすると、入ってきた信号を10:1の割合で減衰させて出力すると言う回路が出来上がります。もう一つ、R1が10KΩ、R2が0Ωだとすると、入ってきた信号を10:0の割合で減衰させて出力する、という事になり、この場合は出力はゼロになるわけです。細かい事を言うと、実際にはR1とR2の和は一定でありますので、10KΩ:1KΩ、10KΩ:0KΩという比率はボリュームの構成上有り得ませんが、ここでは概要だけ分かれば十分です。

ここまでの回路を、一般的には

アッテネーター(減衰器)

と言ってます。

R1とR2の比率を変化させる事で音量を調節している、というところまで説明しましたが、どちらかを固定させてもOKなのです。

つまりはR1を10kΩに固定させておき、R2のみを変化させる、って事でも音量を調整すると言う目的を達成できます。

大きい音が入ってきたら、R2の抵抗値を0Ωに向かって変化させる事で音量を抑える動作になりますが、これを人間がボリュームノブを回して調整するのではなく、電子的に行っているのが、コンプリミッターの構成の一種です。

【何を使って電子的に抵抗値を変化させる?】

コンプリミッターとは違いますが、かつてはYAMAHAなどが、放送局のミキサー卓にはモーター制御のフェーダー(スライドさせて音量を調整するボリューム)を採用した物もありました。所謂、電気式フェーダーですね。また、RCAなどではゼンマイを使用し、ボタンを押すとゆっくりとフェーダが下がるという物までありました(機械式フェーダー)。しかしどちらも現在では作られていません。

■1:VCAを使う■

Voltage Controled Amplifier。制御端子に加える電圧を変化させると、通過する音声信号のレベルが変化する、といった類の物。アナログシンセサイザーやギターのワウエフェクターなどにも用いられている媒体です。アナログのOptimodでは、

Harris社のCA3080というVCA ICが使われています。実際にはこれはVCAではなく、トランスコンダクタンスアンプと呼ばれる物で、制御端子に電圧を加えるのではなく、電流を加える事で増幅度を変化させる物ですが、原理としてはVCAと同じです。

余談ですが、元々はHarris社が80年代に製造していましたが、90年代以降はインターシル社、ナショナルセミコンダクター社がセカンドソースとしての供給元となり、現在では廃盤となっております。

■2:LDRを使う■

LED+CDSの組み合わせ。LEDの光をCDSセルに当てる事で、抵抗値が0Ωに向けて変化する物で、かつては、オプトカプラーと呼ばれており、VTL5C1などの品種が存在していました。

実は、これは自作可能です。がしかし、一応は製品もありますhttp://akizukidenshi.com/catalog/c/caphca/

左側がCDSセル。右側がLED。後はこれを黒いビニルテープでグルグル巻きにすれば完成です。

LEDを音に合わせてピカピカさせると、向かい合ったCDSセルの抵抗値がゼロΩ方向に向かって変化します。先ほどの回路で言うと、R2の部分にこのCDSをそのまま配置するだけで、後はLEDを制御すればコンプリミッターの出来上がりです。

但し

LDR式のコンプリミッターには欠点があります。それは、同じ回路が2つ必要なステレオ回路で使用し辛い点。上記の向かい合ったLDRを2つ自作したとします。しかし、光が当たった時のCDSセルの抵抗値は2つのLDRでバラツキます。つまり片チャンネルが音量ゼロになったのに、もう一のチャンネルからは音がまだ聞こえている、と言ったバラツキ。2連ボリュームを使った事のある人向けに言うと、ギャンギングエラーと呼ばれる状態が発生し、特性の揃った2つのLDRを作るのは困難と言うのが、ステレオ回路には使用し辛い点です。勿論、市販品であるVTL5C1などでも、完全に特性の揃った物は2つ購入しただけではまず有りません。なので、100個単位で購入し、特性の揃った2つを選別して使う必要があるのです。

■3:FETを使う■

トランジスターでも良いのですが、トランジスターの場合には、直線性の優れた領域で使用しなければ音が歪んでしまうと言う特性があります。勿論、トランジスターを選別すれば上手くいく場合があると思いますが私は知りません。なのでFETです。FETは別名、電界効果型トランジスターと呼ばれています。トランジスターが電流を扱うのに対し、FETは電圧を扱います。

SをGNDとして使用する場合、Gに電圧を加えると、DとS間の抵抗値がリニアにゼロΩ方向に変化します。つまり、前述したアッテネーター回路のR2の部分に、DとSを配置し、Gに制御電圧を加えると音量を抑制する方向に働く回路を構成できます。

こちらも素子により若干のバラツキはありますが、LDRほどではありませんので、ステレオ回路にも使えますね。

■4:専用ICを使う■

入手性の問題で、これはまた別個に記事にしましょう。

■5:DSPを使う■

私の分野外です(笑)。



といった感じで、次回には実際の回路をこのどれかを方式として用いて作成します。




4/14/2017

DSP FMステレオトランスミッター / GX-1 最終完成


gx-oneからGX-1へと改名しました。尚、他のgx-oneと言う個人名、名称とは一切関係ありません。

【SPEC】
発振 : DSP (DDS)
送信周波数 : 87MHz~108MHz(77MHz~87MHz)
送信出力 : 80mW (std) / 600mW (Secret Function)
インピーダンス : 50Ω
プリエンファシス : 50uS / 75uS
電波 : Wide-FM(WFM) ±75KHz / Super Wide FM(S-WFM) ±170KHz
ステレオセパレーション(実測) : 56dB(1KHz), 43dB(10KHz)

【Included Function】
19KHz -26dB LPF & -12dB Notch Filter
8Pole Bass Phased Scrambler
2Band Compressor
HF Clipper
Final Limiter (Clipper)
Pix Stereo Enhancer

【I/O】
USB Bus Power
USB Digital Audio Input(44.1KHz/48KHz)
Analog Audio Input (LR)

【私以外の協力者】

・たっくん(技術部) -- DSP設計
・牛和歌丸さん(技術部) -- USBインターフェイス設計
・石川さん(短波倶楽部/技術部) -- デジタルオーディオ処理ソフトウェア製作



と言うわけで、技術部強力により、構想から設計、製作まで約5年の歳月が掛かりましたが、実は性能的には放送局品質を目指しませんでした。あくまで、市販の車用トランスミッターよりも少し良い音と飛距離、って程度に抑えてます。と言うのは、私は元々、FM放送に対してはAM放送よりかは愛情を注いでおりませんで、今回は、技術部の「フルデジタルでアナログのFM放送をどこまで構築できるか」と言う趣旨との利害一致による物でしたのでね。因みにですが、今回、ステレオパイロット信号をとある工夫をする事で、どのようなステレオ受信機でも、ステレオパイロット信号が発生させる変な音(キュルキュル、サー)が削減できる言う、一応は私の特許ですが(時代遅れという事もあり申請は却下されたやつ)、それを組み込んでます。中電界状態では特に効果が明確に現れますが、実はこれも受信機側の工夫で現在ではDSP技術により削減出来てしまうのですが、私のは送信側での工夫でした。アナログのFM放送が終焉に向かっている事からも時代遅れですわね。

【音聴いてみよう】

オリジナル:


オリジナル:

当送信機GX-1を通し、DSP Radio(シリコンラボチップ)にて受信した音を録音しました。尚、OPTIMODなどの外部音声最適化装置は一切使用しておりません。













4/12/2017

FM放送用、超簡単パワーアンプ(USB-5V) Type 2

少し前に書いたFM放送用、超簡単パワーアンプ(USB-5V)ですが、もう少し詰めて、更に実測まで完了させましたので第二段として書きましょう。

今回の素子は、東芝セミコンダクターの70年代トランジスター2SC998。そして、モトローラ社製の最新トランジスター2N5109。前者2SC998は、ビンテージトランジスターとは言えかなりの在庫が現在も出回っていますが、

http://eleshop.jp/shop/g/g2SC998/
https://www.amazon.com/2PCS-2N5109

などでも入手可能です。私の持っている在庫でも数百個ありますけど、流石に当時の物ですのでかなりの外観的な痛みも発生しておりまして、決して美しくはありませんわね。私の場合は2N5109のほうが入手性は良いです。

比べてみましょう


実は、今回の用途では性能的には互角です(若干ですが2N5109のほうが出力が高い)。ピンアサインも一緒です。今回の趣旨としては、USBバスパワーの範囲内で、FMトランスミッターの「なめとんか?!」っていうくらいの弱い出力(概ね1mW以下)を、100mW程度にまでアップさせようという物ですので、この系統でよく使われる12V, 24Vと言った電圧よりも低い状態となります。勿論、車用のトランスミッターならば1mWでも良いのですが、屋内で使用するにはちょいと心持たないのです。100mW程度ならば色々とあるでしょうが、ポイントはUSBの5Vと言う低電圧でパワーアップさせようと言う部分ですので、当然ですが今回の回路のままで12Vにアップさせると、これらのトランジスターはお亡くなりになりますのでご注意下さい。

2SC998(1W)
2N5109(1W)
の他にも使えるトランジスターは、
2SC2053(200mW)
2SC2538(500mW)
2SC1970(1W)
2N4427(3W)
2N3866(3W)
2N2219(1W)
2N3375(3W)
2N3553(3W)
カッコ内は12Vで回路設計をした場合などの本気モード時の標準目安出力。

では回路です。


限りなくシンプルと言うのもモットーですが、なかなか実用になります。ユニバーサル基板で製作する場合、ランド面に表面実装し、正面側を銅箔テープを貼り付けてGNDにする、と言う方法で、良い特性を得られます。

ぶっちゃけ、100MHzですので、そこまで厳格に作らなくても大丈夫。


こんな雑な作り方でも大丈夫。例によってLPFはここには付けていませんが、実際に使う場合には必ず入れて下さい。LPFは、回路図の右半分、π型のチュビシェフ2段フィルターです。これが無いと、地上波TVなどが受信出来ないなどの実害が出ますので、必ず入れましよう。

実際に動かしている図は


こんな感じで、40mW程度に増幅されていますね。試しにこの出力をダミーロードではなく通常のテレスコーピングアンテナに繋いで見ると、地上波TVが全く写らなくなってなかなかのスプリアスっぷりに笑いました(笑)。なので、実際に使用する場合にLPFの重要性が垣間見れますわね。

実際にはこの40mWと言う出力は、このトランジスターにとっては朝飯前です。しかし、ヒートシンクなどを不要とする範囲内で使用する意味からも、多少なりとも高出力のトランジスターを低電圧で使用しましょう。勿論hfeの高いトランジスターを選択するのもアリでしょうけどね。

余談ですが、汎用の2N2222では10mW程度までが限界です。更に、かなり熱くなりますので、2N2222を使用する場合は多少の熱逃がしは必要になります。回路変更もアリでしようけど、5Vと言う厳しい環境なのと、たったの10mW出力でかなり熱くなる時点で、それ以上の回路的な工夫は見込めません。

一個で駄目なら二個、の巻ぃぃ~(o→ܫ←)b☆


パラレルに繋いでしまうと良いでしょう。何だったら3つくらい繋いでも良いかもですわね。その場合、各トランジスターのバラツキにより、一つのトランジスターに負荷が集中しないように、制限抵抗を10Ωくらい入れたりしちゃって、お茶を濁しましょう。

ただ、USBを電源としている事を忘れて、2N2222を20個繋いで、尚且つバイアス10Kを2.2Kとかに下げて、めっちゃ出力出るぜひゃっほい、ってするのはお奨め出来ません。USBで使用可能なのは実質的には400mAまでです。

(写真では15KΩを使用していますが、計算値は10KΩです)

LPFまで搭載した完成写真です。私はSMD(表面実装部品、チップ部品)が好きですので、インダクターである100nHもチップ部品を使用しています。


4/04/2017

FMステレオトランスミッター / gx-one 完成


gx-oneと言う名称は、主要DSPの通称で、たっくんが付けた名称なのですが、好きではありませんのでいずれは変えるつもりです。と言うのは、私のツイッターで、フォロワーさんにgx-oneと言う方がおられますので、その方へのギフトならまだしも、私が使う物にそういう名称を付けるのは気分が良くないですし、gx-oneさんに失礼ですのでね。でも取り合えずは仮と言う事で。しかも、PCのサウンドカード設定では、gx-oneと言うデバイス名になってしまっているのを、ファーム書き換え変更してもらう予定。



ある程度はUSB接続を解しての音質設定は必要ですが、一度設定して書き込めば後はスタンドアロンで使えます。基本的にUSB一本だけで接続し、音声はそのままPCからサウンドデバイスをgx-oneにすれば使えます。ワイヤレス・サウンドカード、みたいな^^。


【私以外の協力者】

・たっくん(技術部) -- DSP設計
・牛和歌丸さん(技術部) -- USBインターフェイス設計
・石川さん(短波倶楽部/技術部) -- デジタルオーディオ処理ソフトウェア製作

【仕様】

送信周波数 : 85~110MHz
送信出力 : 120mW (Max)
音声特性 : 30Hz~16KHz(-3dB)
接続 : USB
サンプリング : 44.1KHz,48KHz (16bit)

【機能】

2バンドALC(Compressor Limitter)
HF Clipper
8Pole Bass Phase Rotator




実は、まだ電源投入時の初期化に失敗する時がありまして、その原因が不明であります。私の作成したマイコンプログラムコードに問題があるのか、それともたっくん側の設計が悪いのか、両者「別に変な部分は無い」っていう一点張りでして停滞中であります。後、短波倶楽部の石川さんの作成したオーディオ処理基本ソフトウェアのせいなのか、小さくデジタルノイズが乗ってしまってます。




足並みの揃い具合が最悪なうΣ(゚∀゚;) 







FM放送用、超簡単パワーアンプ(USB-5V)



※各国の電波法規を守って下さい
*keep the law of your country

USB電源で使えるリニアアンプと言うのは見かけません。12V用のリニアアンプを電圧を下げればそれでも使えますが、どうせならば5V用のバイアス電流までを設定して上げれば、ちょっとした送信出力アップが出来ます。

無資格で出せるのは0.1Wまで。つまり100mWまでですが、凡そ、市販されている車用トランスミッターの標準的な出力は、1mW程度。アンテナを非効率な小さい物にして出力を50mWとしている製品もありますが、USBを電源とする物に関しては1mWな物が多いですね。そこで、それを10mW~50mW程度にまでアップさせる物を作ってみましょう。

余談ですが、1/4λグランドプレーンアンテナから10mWを送信すると、私の実測で、見通しノイズなし飛距離は約1km程度でした。50mWでは2km程度までクリアーでした(カロッツェリアにて受信)。50mWと100mWは全く飛距離に変化無し。とは言っても、私は別にPirates Radio Stationを作りたいと言うわけでは有りませんので(と言うかその志向ならば最低でも10W程度は送信してます)、あくまで送信アンテナが小さいタイプな物を使い、屋内で更に壁越しで満足にFMステレオを飛ばすと言う向きですので、そこまでのパワーは不要なのです。と言うか5V(Max500mA)と言うUSBバスパワー内で出せる出力は、大した事は無く、更に送信部分がDSPの為、そこでかなりの電流消費でありますので、10mW程度が妥当ですわね。

回路です。製作はユニバーサル基板でOKですが、可能ならば反対側に部品を乗せる表面実装の形態を取り、反対側に園芸用の銅箔テープを張ってGNDラインにすると言う作り方をお奨めします。

こんな感じで(裏側に銅箔テープを一面に張ってGNDラインにしてます。つまり背面ベタアース)。

因みに、出力部分にあるLow Pass Filterが入ってませんが、スペアナで見ても大したスプリアスは有りませんでしたので、私は付けずに行ってます。まあ10mW程度で更に屋内用途なら不要かもですわね。

本音言うと、邪魔くさかった(๑≧♉ฺ ≦)テヘッ

私は律儀に50Ωのこあきしゃるケーブルを使いましたが、何だったら適当なシールド線やビデオケーブルなどでもOKです。


注:この回路は5V用です。12Vで使用するとトランジスターが灼熱モード突入しますので、12Vで使用する場合は、バイアス抵抗15KΩを39KΩに上げて下さい。





4/02/2017

FM放送用 - 超簡単ステレオ飛び防止19KHzフィルター

車用のトランスミッターにも使えます。アナログ音声入力部分に挿入しましょう。






実験では2200pFではなく2000pFを使用しましたので、カットオフポイントが少々高くなってますが、2200pFを使用する事で16KHzから右下がりになり、19KHzでは約-20dBほどの減衰量が得られます。一見するとこれを二段カスケード接続すると更に良くなると思われますが、ちょいとお待ち。パッシブであるのと、コイルインダクターを使用していますので、直列にこれを2回路接続しますと、インダクタンスの合算により、色々と問題が発生しますので、
こんな感じに真ん中にボルテージフォロワなどのバッファを入れましょう。上記の回路は単電源で構築する場合の実例ですので、正負電源の場合はオペアンプ入り口の100K2本とVCCからの10K2本を除外し、気分によって10uFカップリングコンデンサーも不要になります。0.01uFを2本直列にしているのは、私の拘りですので、5000pFを1本でもOK。少し特性がズレますが、4700pFも使えるかもしれませんが、可能ならば0.01uFを2本で作りましょう。




4/01/2017

FMステレオ送信機を作っててイラっとする事



1:ステレオ飛ぶ
2:送信電波のオーディオ部分への回り込み

特に1です。現在、フルDSPの送信機を作っているわけですが、中身がデジタルとは言っても、作り出される電波そのものはアナログでありますので、当然、その電波に周波数変調された信号までがアナログなのです。それらを作り出すまでのプロセスがデジタルだ、ってだけなわけです。そして、デジタルだから音が良い、ってな事には一切ならず、最終的には規格化されたFMステレオ放送に合致するようにする時点で、最終的な音質などにはFMステレオ規格としての限界を伴うのです。

【デジタル化する事へのメリットは?】

まず、電波を作り出す回路をDDS(Direct Digital Synthesizer)にする事と、更にそこにDSP Filterなどを組み合わせる事で、一発でどんな波形の電波を作り出すかを頭打ちで決定し、その通りの物が得られます。アナログPLLよりも回路規模は1/10程度になり、尚且つPLLですと、周波数変調の際に周波数が推移した際、中心周波数に戻そうとする動作が介入します(実際には比較信号の位相に戻そうとする動作)。その時、特に周波数偏移が大きくなる低音信号により、PLL回路設計によっては「キーン」と言う音が発生します。しかし、このキーンという音を乗らないようにPLLの位相制御フィルター(ループフィルター)を設計しますと、変調を行う音に対して周波数の変動ヲガチガチに抑えようとするあまり、低音が乗らない送信機になったりするのです。実はPLLの場合、特にFM放送の場合には、このループフィルターと低音の「キーン」と言う音とは密接なトレードオフが発生し、米国のFM放送局では、「キーン」を妥協して深い変調が掛かるようにした放送局のほうが多いのです。R&Bなどで低音のバスドラム(Roland 808などのバスパーカッションなど)のみが目立つ曲などでは、低音と同時に「キーン」と言った音が乗っているのは、このPLL回路の都合と様々な技術的限界からくるトレードオフを容認した事からなのですね。デジタル回路にする事で、そもそもDDSはPLLとは全く違い、基本的にはデジタル信号(制御)により直接、目的の周波数を発振します。当然、PLLなどのような「ズレる」と言う事は有り得ません(DSPのベースクロックを司る水晶発振器のppmズレは除外)。極端に言うと、デジタルのまま周波数変調させた信号を作り出す場合、FMステレオ放送の±75KHzの周波数偏移を考慮していますので、その偏移をズレだとは認識しません。なので当然、低音に対しての「キーン」音も発生しない、と言う点は、これは有利と言えば有利でしょうね。実際、中にはキーン音が好きって人もいますが、それはここではニッチな需要として考えます^-^;。

デジタル化する事への利点としてはまだ有ります。音響処理までもをデジタル化してDSPで処理させるのならば、これはかなりの利点が発生します。アナログ回路ですと、回路自体を物理的に変更しなくてはならないような事でも、プログラム内の1行を書き換えるだけで最短1分程度で変更が可能です。またDSPチップの処理能力やメモリー領域が余っている場合は、基本ソフトであるファームウェアを書き加えるなどして、根本的、又は全体的な回路変更が外部から、場合によっては遠方地からも可能なのです。

アナログ電子回路の設計で言うと、基本的な回路図を描いて、部品の定数などは空欄にしておき、後からそれらを決定する、という、これはアナログでは難しい事がデジタルでは可能なのです。

【デジタル化する事でのデメリットは?】

実はこのデメリットのほうが格段に少ない事が、デジタル化が促進された要因です。しかしアナログ信号であるFMラジオ放送の電波を作り出すなどの場合においては、比較的膨大な処理が必要になります。代表例はデジタルオーディオ。CDはサンプリング周波数44.1KHzが基本です。これは、1秒間に44100回、アナログの世界の信号を扱う事を意味しますが、極端な話、1秒間に44100回のぶつ切り音を私達が聞いているのです。1秒間に44100回のプツプツ音を聞き取れる人はまずいませんが、これがもし、サンプリング周波数1Hzだった場合はどうでしょう?1秒間に1回しかアナログ音声を処理しないとすれば、これはもうクオーツ時計のカチカチ音になります。実際にはサンプリング周波数だけではなく、ビットレゾリューションという8bit, 16bit, 24bit, 32bitといった要素も絡みますが、基本的にはこのサンプリング周波数が高ければ高いほど、より繊細な音が表現できるわけです(これだけの説明だと、それって単に周波数特性の上限が、って話になるのでは?って話しになりますが、それは言わないで!Σ(^~^;))。とにかく、アナログの信号を処理したり扱う場合、1秒間に何回扱うかと言うのも単純にデジタル回路であるDSP部分の負担になるのです。てすが、最近のDSP技術の進歩は、実際に数百MHzといった電波を直接発生させれるくらいになってます。かつては、高周波発振回路があり、その発振回路の周波数調整部位を電子的に制御する(PLL)しか方法はありませんでした。

そして、敢えてこれをデメリットとするかは議論の的になりますが、アナログ信号を作り出す場合、デジタル→アナログの変換が必要になります。また、信号を処理する際にはマイコンなどによる数値演算が必要になりますので、その演算結果が出るまでの数ミリセカンドが遅延時間として発生してしまいます。因みにこれは、アナログには追い付けません。どんなデジタル機器でも、変換などを含めた処理が少しでも介入すれば、その分の時間は待たされます。

「数ミリセカンドなんて問題ないでしょ?」

はい、問題にはなりません。ですが、リアルタイムの音声処理においては、最大でも5ミリセカンド以内に収めないとならない、と言った業界での暗黙の了解があります。じゃないと、衛星中継のような事になってしまいます。

FM放送などの業務用途でもこれらの遅延時間は、機器の構成によっては無視出来ない場合にもなりますが、「実用上問題ない」とされればそれで通ります。なのでデメリットと言うかは疑問でもあるのですね。

【ステレオが飛ぶぞ!】

ここからはアナログであるFM放送電波の話になりますが、FMステレオには19KHzに、ステレオ音声をステレオとして伝送する為の制御信号が重点されています。しかし、音楽CDや、最近ではハイレゾ音源などは当然、音声帯域として50KHz付近にまで達している場合があり、音楽CDでも22KHzまでの帯域があるのです。主に高音部分なのですが、それをそのままFM変調しますと、この大切な大切な制御信号を妨害してしまい、受信側では19KHz信号の乱れとなり、瞬間的にモノラルになってしまうこの現状を、

Stereo Pilot Signal Drop

通称、ステレオ飛びと言います。勿論、受信機の作りによってはこのステレオ飛びのし難い、し易いはありますが、基本的にこの19KHz信号は送信側では死守する必要があります。ではどうするか、と言うと、音声信号の上限に制限を設けるのが一般的。つまり、19KHzを邪魔しないよう、16KHz程度までを乗せる様に、低域のみを通過させるフィルター(LPF=Low Pass Filter)


が使われます。念には念を入れて、一部の周波数のみを減衰させるNotch Filter


と言う物も併用します。しかし、実は音声には倍音と言う成分が存在します。この倍音は、これらのフィルターで取り除けない場合もありまして、その場合は設計者によって名称は様々ですが、私の場合はハーモニックフィルターと呼んでいるそれが必要になります。とまあこれを突き詰めていくと、最終的に到達するのは

音自体を乗せなければステレオも飛ぶ事が無くなる

っていうところに行き着くわけですので、どこかで折り合いを付けなければなりません。コンピュータウィルスに感染しないようにするには、ノートンやマカフィーなどを入れるより

コンピュータを使わなければ良い

ってのと一緒ですわね。

と言う事で、現在、このステレオ飛びにイラっとしつつ、色々と対策を考えてますが、現在製作中の送信機は、あくまでワイヤレスヘッドホン用途にしか考えてませんので、いつものようにそこまでは拘りませんが

どこぞのコミュニティーFMのようなステレオ飛びが発生している状態と言うのは、そもそもステレオ放送の意義を水の泡にさせてしまいます。高音を緩やかに10KHz付近から-6dB程度のカーブ特性を持つバターワースLPF一段入れればOKじゃん、っていうのはちょっと芸が有りませんので、もうちょっと切り詰めたい所ですが、色々とコードを書き換えたりしつついじっております。