5/17/2015

アナログVUメーターの回路(針をフリフリしましょう)



まずはこれをご覧下さい。とか言って再生数を伸ばすステマではありませんが、これは、私のAMトランスミッター KIKORIシリーズのコンセプトの一つの、”アナログ感を保持する”、と言う部分にもあります。どうです?なかなか落ち着いた振れ方をしますでしょ?( ^-^ )。このメーターは、VUメーターのように見えますが、実はそうではありません。メーターの内部構造は、リニアスケールの単なるマイクロアンペア計、俗に言うラジケーターという代物です。本物のVUメーターは、内部構造、つまり物理的な構造から既に、VUスケールで振れるように設計されています。VUスケールの目盛りを見ますと分かりますでしょうが、直線的なスケールでは無いのです。人間の聴覚特性に合わせたスケールとなっているのです。しかし、入力される電圧(電流)の増加率に直線的に比例してメーターの指示が増えるアナログメーターの場合、音声信号を聴覚特性で振らせる事は出来ません。


↑のKIKORI AMトランスミッターに内臓している回路は、この部分です。2chの内、片方のみを使用していると言う贅沢っぷり^p^。


直線的に振れる構造のアナログメーターを、それをドライブさせるアンプにVU特性を持たせた増幅回路を用いる事により、振れ方をVUスケールにする事が出来るのです。

用途としては、スペクトラム計測器などの増幅回路に使用されているLOG AMP(対数増幅器)がそれに該当します。詳細に言いますと、音響アンプの出力、つまりスピーカー出力信号を拾って、どの程度のパワーでスピーカーに供給されているかを知る為のパワーメーターには、1/4乗圧縮曲線を持つドライブアンプが必要になります。1/2乗圧縮曲線の場合もありますが、そっちのほうをここで出すと話がちょっとややこしくなりますので、知識としては1/4乗圧縮と言う部分だけで十分です。

この回路をディスクリートで構成するとなりますと、OP AMPを使用したとしてもかなりの複雑さが予想されます(ハイエンド音響アンプにはディスクリート構成も有り)。しかし、これを行う専用のICに頼る事で、再現性良く出来ます。

↑に紹介しました動画も然りですが、私がお世話になっているICがありまして、それは、TOSHIBAのTA7318P。90年代中ごろにて既に廃盤となりましたが、大量に所持している事もあり、現在でもお世話になってます。また、現在でも入手が出来ないわけでは有りません。中国流通においても単価としては5$というかなりの高値が付いてますが、暖かい優しい振れ方を求めている場合、お奨めです。また、これの1/2乗圧縮版であるTA7332Pも、多少は振れ方が違ってきますが、リカバリーコンデンサーなどを調整する事で、ほぼ似たような振れ方になります。

私の所持しているのは7318と7332ですが、実は、この機能を有する比較的新しいICを発見しました。RHOM社のBA6138です。こちらは1/2乗圧縮回路が内臓されていまして7332寄りの特性ですが、同じようにVUスケールのメータードライブに使えます。

現状
・TA7318P
・TA7332P
・BA6138

これら3つのICがVUメータードライバーとして最も適したICだと言えます。

因みに、リニアスケールのメーターをそのまま単純に整流して駆動させた場合の特徴としては




(私が上げた動画ではありませんが)このようになります。小さい音のディテールを拾えていないわけです。しかもピーク保持も余り出来ていないようにも思えます(誤解されないように言いますが、これがダメと言ってる訳では無いですよ)。




こちらは私の動画ですが、これもTA7318による駆動です(ピークメーター志向ですわね)。VUメーターのように見えても、大抵はただの電流計の場合が多いものです。実際に直線的に電圧を加えてみて(制限抵抗を忘れずに)、その振れ方が電圧変化に直線的であれば、それは単なる電流計(又は電圧計)。直線的でない場合でVUスケールが描かれておれば、それは真のVUメーターと言うことになります。

真のVUメーターの場合は、単純に音声を全波整流して印加すればOKです。そうでないならば、VUスケール曲線を増幅特性に持つ回路を介する必要があります。まあ、車のワイパー状態でも、右に左に針がフリフリしておればいいや、って場合は、そのままでも良いのですが^-^。

アナログ回路に敏感なお方ならば、気づかれると思いますが、実はこの対数増幅回路は、音響エフェクターでもあるコンプレッサー回路と似ています。コンプ回路は自在にスレッショルドやレシオ、アタック、リリースといった調整が可能な機能を有している点では違いますが、原理としては一緒です。

で、何を言いたいかと言うと、ラジオ用のICなどは、中国メーカーがセカンドソースとして色々出しているのですから、この系統ももしかしたら・・・・と思って探しているわけです。特に、真空管などの媒体が現役として頑張っている中国において、もしかしたらこれらのICのセカンドソースが有るのでは・・・という。今のところ見つかってはいませんけどね。

さて、今でもまだ入手は可能なTA7318Pと7332Pについて、知り合った方から日本語のデーターシートを入手出来ましたので、上げておきます。これらのICを入手された場合にお役立てください。