6/11/2016

OPTIMODアナログ機は、デジタルには出せないアナログのよさが有りますよね

誰が、とは言いませんが、特に日本の界隈で耳にするバカなラジオ好きの言葉があります。それは

「やっぱりアナログ機は温かみが有っていいね」

「アナログOPTIMOD導入してます。デジタルには出せないアナログのよさが有りますよね」

バカですか?



(というか実は↑の人は知ってます。完全に先入観で会話される人でした。所謂、自分中心。一度フォローされましたが、高確率でこちらのプロフィールや普段の発言を全く見ていない感じでした。コミュニティーFMの人ってのも疑わしいですが、そこはどうでも良いのです。所謂、こちらを全く理解しようとされなかった人でした。なので、完全に先入観、それだけで語る人なんだなー、って印象です。)

だったら、今から挙げるサンプル音を聞いて、どれがアナログ機かを当ててみて下さい。プリセットや既存の設定は一切使わず、こちらの民放局の音を基準に、全てがほぼ同じ周波数特性、ダイナミックレンジ特性になるようにチューニングし、使用するFM送信機へとMPX入力し、ONKYO T-422で受信しております。当てたら、素晴らしい!、私が謝ります。

Sample 001 [flac lossless]
Sample 002 [flac lossless]
Sample 003 [flac lossless]

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Sample C002 [flac lossless]
Sample C003 [flac lossless]


因みに言いますが、私には、この試聴テストを受ける側だとしたら、デジタルかアナログの違いは、全く分かりません。更に、OPTIMODの、どの機種なのかすらも分かりません。当てずっぽうで答える事は出来ても、その明確な、それである、との理由は挙げれる自信はないです。音質から、「ああ、この音は、凡そどのようにして作られているか」程度は何となく分かります。

本質を見失ってて感覚的に、アナログにはデジタルに出せない音が、とか言うのは、どうかと思うんです。じゃあ、実際に、どういう音がデジタルには出せないのか、具体的な例があれば、聞いてみたいです。これが例えば、アナログレコードとデジタルCDの違いならば分かります。しかし、OPTIMODの世界では、アナログ機にはデジタル機には無い良さがある、とか、そもそも、デジタル機ではアナログ機の音は出せない、とか言うのは、音に対する理解と、その音を出そうとする為に用いる道具を隅々まで理解してません。音を細部まで分解し、今鳴ってるアナログ機からの音をデジタル機でどのようにすれば再現可能かを考えると、余裕で「可能」と言えます。再現できない、ってのは、ただ単に、あなたの音響に対する技術力が無いだけなのです。

そもそも、特にOPTIMODは、アナログ音響のプロフェッショナルが開発し、現代ではそれを、DSP技術によって、次世代の開発陣へと受け継いでデジタル機が誕生したわけです。そこに妥協は許されません。特にOPTIMODは、その歪特性に至ってまで、アナログ機を100%、再現しております。本当に突き詰めていじって、尚且つ、アナログ機の回路図、そして、デジタル機のDSPの内部構造、コーディングなどを全て研究しておれば、アナログ機、デジタル機、その両者に違いは全く無い事が伺えます。

では、本当に違いが無いのか?

それに対しては、違いが有ります。それは、アナログ、デジタルの違いなのではなく、各種パラメーターの設定の違いなのです。当然、暖かい音を出そうとしたチューニングならば、暖かい音として送出されます。逆に、硬い音の代名詞でもあるデジタル的な音へのチューニングを施せば、それはデジタル的な音になるのです。

デジタルには出せないアナログのよさが有りますよね

とか言うアホは、本当に音を理解しているのか?という疑問すら伺えます。そういうヤツが放送局の音響を担当したりしているのを見ると


もう転職しろ!


って言いたくなります。正直、怒りすら覚えます。

勿論、デジタル、アナログ、その違いを語るのは結構な事です。それが感覚的だとしてもです。ただ、決め付けたようなセリフを吐くのは、いかにも素人丸出しである、と言えます。コミュニティーFM局だから?いや、ちゃんと免許を与えられた局に、大電力局もコミュニティーFMもありません。確かにアナログには温かみがある、って事が実しやかに囁かれたりしますが、果たしてそうなのか?、って部分で追求して行くと、必ずボロが出ます。

ただ、アナログ機とデジタル機が全く同じ物か、というと、それは違います。というか、これは素人でも分かりますよね。回路的にもそうです。ぶっちゃけますと、アナログ機では、デジタル機の音を再現するのは、不可能では無いガ難易度が相当に上がります。だって、アナログですもん。デジタルのような多種多様な音を作り出せる物とは違い、限られた音しか出せないのです。つまり


優位になってるのはデジタル機


これは、まぎれもない事実なのです。


では、本当にアナログ機の次なる機器として、その役割を果たせるか、って部分については、実質的な問題もあります。しかしそれは、音質の問題ではありません。


そう、


デジタル機には、目に見えての遅延が発生します。所謂、レイテンシーってやつです。アナログ信号から入力とする場合にはそれが顕著に現れます。内部的には、アナログをデジタルへと変換し、DSPへと接続されてます。そして、また出口では、アナログのMPX信号へと変換されるわけです。この、A/D, D/A変換において、遅延をゼロにする事は、不可能。ましてや、DSPというプロセスが介入する事で、デジタル信号を計算によって様々な処理を行います。マルチバンドコンプレッション、周波数分解、オーバーシュート、クリッパー、プリエンファシスなど、とにかくOPTIMODには単純なDSPでは太刀打ちできないような内部処理が要求されるのです。その処理が、数値計算によって成されている訳です。MP3エンコードや動画エンコードに時間がかかったりするのも、数値計算による処理の為です。勿論、CPUの高速化によって、有る程度は時間短縮は可能になっておりますが、OPTIMODには独自に開発されたDSPチップが搭載されています。しかし、計算という行程が介入する事で、それに対する処理時間は今後も付きまとうのです。特にデジタル機であるOPTIMOD 8600には、全ての処理ブロックを使ってのフルエフェクトも使えますが、プリセットによっても、その遅延時間は変わってきます。入力された音が最終的にFMラジオから聞こえるまでの時間は、下手すれば50msに達する場合も有ります。50msもの遅延が発生しますと、OPTIMODを通した音をモニタリングしながらナレーションやMCなどを行う事は、かなりのストレスになります。自分の耳には遅れて聞こえるのですからね。

こういったデジタル機ならではの、数値計算が必要な部分での遅延問題というのは、実際にはありまして、そういう実質的な問題を挙げて、

「アナログには遅延が無いので良いよね」

とか言うのでしたら納得なのです。

しかし

デジタルには出せないアナログのよさが有りますよね

ってのは、なかなかに頭の悪そうなプロが発言するのはどうなのかな、って思う発言だと思います(こっちでそんな発言したら、確実に、「ふっ」って感じで鼻で笑われます…経験有り-_-;)。



いや、経験有りって書きましたが、その時は、OPTIMODの事を指し示してお話していたわけでは無かったのですけどね。まっそれは良いです。

なので、本当にOPTIMODが好きな人は、↑このような変な感覚を持つ事が無いようにしましょう。

余談ですが、アナログ機を心から愛しているエンジニアさんは、デジタル機を否定しません。中には頑なにアナログ機を使い続ける人もいますが、私がよく聞くWJLBのスタッフさんは、このような事をおっしゃってました。


「僕はデジタル機に1週間、触れてみたんだ。でも、僕にはデジタル機を扱いこなすスキルが無い、って事だけが、触れた事での収穫だったのさ。別に良いさ。世代交代とするならば、僕も共に引退するだけ。デジタル機でいつかこの音を継いでくれる人が現れたら、僕はその人に全てを託す。この前、NYの局の音を聞いたんだけど、恥ずかしながら、僕は、「まだアナログ使ってる局がNYのような大都市に存在したんだ」って思って嬉しくなったね。でもね、その局、デジタル機の8500だったのよ(笑)。正直、デジタル機から伝わるあの暖かさは、往々にして冷たくなっちまうデジタル機を理解し、アナログのような暖かさを出せるエンジニアの賜物だと思ったね。僕のようにアナログに固執するのは、自分でもどうかとは思うけど、僕にはデジタル機は高貴過ぎるのさ。だから今でもアナログ機を修理しながら使い続ける事に決めた」


黒人さんでしたが、周りがどんどんデジタル機になっていく中で、取り残された感を感じてか、お話を伺った時の表情は若干悲しげに思えました。でも、


これがプロだ!


って思いましたね。カッコ良いように思えますが、そうではなく、これが当たり前の姿なんだな、と。




[簡単にまとめます]


アナログ機には、デジタル機には出せない良さがある


それは


デジタル機をどこまで知った上での発言ですか?


本当にデジタル機で、アナログ機の音を極限にまで追求した上での発言ですか?


最後にもう一度言いますが、


私には、デジタル機、アナログ機の違いは、全く分かりません。



なので、アナログ機は素晴らしい、デジタル機は素晴らしい、又はその逆を、公の場で語る事は一切しておりません。以前、私の事をアナログ機専門の人、とか勘違いされましたが、それもまたアホの所業です。