日本では有名とされている東芝の2SC1815。もう既に産業用途としては使えなくなり、オリジナルは在庫流通のみとなっています。セカンドソースとしましては、フェアチャイルド社によってKSC1815として製造されています。因みに、我が国ではオリジナルの2SC1815への知名度は殆どありません。と言うよりそもそも2SCと言う名称に対しての知名度としても、比較的に宜しくないのです。恐らくとしましては日本の皆様が9018(中国のCHANGJIANG電子製)と記されたトランジスターが使われているのを見て、「何だこれ?」って思われるのと似ているかもしれません。1815と9018では流石に高周波特性の面では9018が圧勝しておりますので、並べて紹介するのは酷でありますが^^。9018は800MHzと言うftを持っており、尚且つhfeもかなり高い石です(2SC1815は公称80MHz)。
当方で所持している物としましては、1978年製造ロットの物が500個ほど。経年劣化もあり、端子などが錆びてしまってますので、使用する場合には磨いてあげたり、しっかりとハンダを浸透させてから使います。
ではこちらで汎用として、尚且つ1815のように廃品種ともなっていない石にはどんな物があるのか、と言いますと
日本でFETと言えば?、と聞かれると私には分かりませんが、こちらでは汎用と言う位置づけでは2N7000が挙げられます。
2N2222, 2N3904と比較しますと、特にHFのプリアンプとしての回路ではNF値として2SC1815のほうが低いとされていますね。とは言っても、今では探せばそれ以上の物は沢山見つかります。
誤解されないように書きますが
2SC1815とこれら上記のトランジスターとは互換ではありません。間違えてもそのまま差し替えて使う、などと言った事はダメです。特性以前にまず、ピンアサインが違います。
こちらで一般的な配列は、Emitter, Base, Collector、つまり正面左からEBCです。
2SC1815(KSC1815)は、Emitter, Collector, Base、つまり正面左からECBです。
まずパーツ屋さんに出向いてこれらの2N2222, 3904、そしてコンパチのセットが売り切れていた、なんて事になれば、そのパーツ屋の信頼度が落ちる、とまで言われます。どうしても売り切れていた場合は、
BCシリーズを^^、と言った具合いに位置づいてますわね。余談ですが、右端にありますフェアチャイルドB834-Yは、電源トランジスターとしての定番です。こちらは日本の2SD880とほぼ互換がありますので、困った場合の選択肢にどうぞ。BD131は汎用とは無関係です。
日本のトランジスター命名規則は神である、と思われる点があります。
それは
用途に応じてイニシャルレターを分けている点!
2SA : PNP / RFまで使える
2SC : NPN / RFまで使える
2SB : PNP / 低周波用途
2SD : NPN / 低周波用途
2SK, 3SK : 電界効果トランジスター(FET)
因みにこちらでは、2N2222はNPNトランジスターでRFまで使える物。2N7000は電界効果トランジスター(FET)。汎用レーンにあるものは、トランジスターであれFETであれ全て2Nから始まります。最近ではPower MOSなどでイニシャルレターが違うシリーズもありますが、明示的にトランジスターなのかFETなのか、NPNなのかPNPなのか、データーシートを見るまで分かりません。そういった点では、日本の命名規則は後の利便性を考えている、って思いましたね。
数年前の技術部コミュのたっくんとの会話
た「ディスクリートで作るのかー、だったら適当な汎用1815とか使っておけば?」
私「え?レギュレーター?」
た「ふぁ???いや、だから汎用のトランジスター1815」
私「2N1815…って何それ?」
た「何十年と王座に君臨した1815を知らないとは(笑)」
が懐かしくもあります(o→ܫ←)b。
今回は汎用品についての話題でした。