5/14/2017

災害時に強いAMラジオ、と言うのは都市伝説

災害時に強いとされているのはあくまで受信側視点なのです。もし、送信所がダメになった場合、小型で持ち運びすら余裕であるFMラジオのほうが、総合的に見ますと災害時には強い事になります。

AM放送の送信所とアンテナは、とにかく巨大で、持ち運びは不可能。

FM放送の送信所とアンテナは、小型で、一式をワゴン車に詰め込めるレベル。

尚且つ、例えば100kwの送信出力を持つ場合、AM放送の100kwと、FM放送の100kwでは、確実にFM放送に価値が出ます。まず飛距離。AM送信の場合、理想的なアンテナサイズは100mを超えます。方やFM放送の場合、大きくても2m程度のアンテナサイズでOK。更にサイズを大きくして10mくらいで設計した場合、アンテナ利得として輻射効率を上げる事さえ出来るバンドなのです。

もしAM放送の送信所が災害により破壊されてしまった場合を考えますと、簡単に持ち運べるレベルのFM送信のほうに緊急時の有効性が発揮されます。

しかも災害時に必要な飛距離と言っても、遠方にまで届くAMよりも、近場に届くFMで十分に足りるのです。

受信機の普及率としての問題も挙げられますが、現代においてはそれはほぼ無視して良いのです。1970年代頃ですと、まだFM放送受信機の普及率はそれほど高くはありませんでしょうが、現在ではそのような事はなく、寧ろ送信側では簡単に予備送信機器を備える事もできるFM放送に、緊急時、災害時の軍配が上がってしまいます。

そして、そのFM放送ですら、災害時の有用性が疑われています。そんな物を緊急時、災害時に死守するよりも、IPネットワークを死守するほうが、実際のところ大いに有効度が高いのです。それは、普段から身に着けている物として、モバイル端末が挙げられます。スマホ、ガラケーを含めて、そういった物が緊急時、災害時に使える事を守り抜くほうが、よっぽど良いのです。中にはFM放送受信機能を備えた端末もあるでしょうが、徹底はされていません。ただ、緊急時、災害時の放送そのものは必要でありますね。IPネットワークを通じてそれらの情報を受け取るわけですのでね。ですがその伝達方法として、AM放送やFM放送を最優先に死守する、という方向性には疑問を感じざるを得ない時代になってきています。

統計としまして、もし、地震や津波が発生し、家庭内の電力が失われた場合、あなたなら真っ先に何をするか?

その答えを統計しますと、そこにAMラジオ、FMラジオを聴く、という人と、スマホで情報収集する、という人、どちらが多いかを見てみますと、それが答えになります。