4/12/2017

FM放送用、超簡単パワーアンプ(USB-5V) Type 2

少し前に書いたFM放送用、超簡単パワーアンプ(USB-5V)ですが、もう少し詰めて、更に実測まで完了させましたので第二段として書きましょう。

今回の素子は、東芝セミコンダクターの70年代トランジスター2SC998。そして、モトローラ社製の最新トランジスター2N5109。前者2SC998は、ビンテージトランジスターとは言えかなりの在庫が現在も出回っていますが、

http://eleshop.jp/shop/g/g2SC998/
https://www.amazon.com/2PCS-2N5109

などでも入手可能です。私の持っている在庫でも数百個ありますけど、流石に当時の物ですのでかなりの外観的な痛みも発生しておりまして、決して美しくはありませんわね。私の場合は2N5109のほうが入手性は良いです。

比べてみましょう


実は、今回の用途では性能的には互角です(若干ですが2N5109のほうが出力が高い)。ピンアサインも一緒です。今回の趣旨としては、USBバスパワーの範囲内で、FMトランスミッターの「なめとんか?!」っていうくらいの弱い出力(概ね1mW以下)を、100mW程度にまでアップさせようという物ですので、この系統でよく使われる12V, 24Vと言った電圧よりも低い状態となります。勿論、車用のトランスミッターならば1mWでも良いのですが、屋内で使用するにはちょいと心持たないのです。100mW程度ならば色々とあるでしょうが、ポイントはUSBの5Vと言う低電圧でパワーアップさせようと言う部分ですので、当然ですが今回の回路のままで12Vにアップさせると、これらのトランジスターはお亡くなりになりますのでご注意下さい。

2SC998(1W)
2N5109(1W)
の他にも使えるトランジスターは、
2SC2053(200mW)
2SC2538(500mW)
2SC1970(1W)
2N4427(3W)
2N3866(3W)
2N2219(1W)
2N3375(3W)
2N3553(3W)
カッコ内は12Vで回路設計をした場合などの本気モード時の標準目安出力。

では回路です。


限りなくシンプルと言うのもモットーですが、なかなか実用になります。ユニバーサル基板で製作する場合、ランド面に表面実装し、正面側を銅箔テープを貼り付けてGNDにする、と言う方法で、良い特性を得られます。

ぶっちゃけ、100MHzですので、そこまで厳格に作らなくても大丈夫。


こんな雑な作り方でも大丈夫。例によってLPFはここには付けていませんが、実際に使う場合には必ず入れて下さい。LPFは、回路図の右半分、π型のチュビシェフ2段フィルターです。これが無いと、地上波TVなどが受信出来ないなどの実害が出ますので、必ず入れましよう。

実際に動かしている図は


こんな感じで、40mW程度に増幅されていますね。試しにこの出力をダミーロードではなく通常のテレスコーピングアンテナに繋いで見ると、地上波TVが全く写らなくなってなかなかのスプリアスっぷりに笑いました(笑)。なので、実際に使用する場合にLPFの重要性が垣間見れますわね。

実際にはこの40mWと言う出力は、このトランジスターにとっては朝飯前です。しかし、ヒートシンクなどを不要とする範囲内で使用する意味からも、多少なりとも高出力のトランジスターを低電圧で使用しましょう。勿論hfeの高いトランジスターを選択するのもアリでしょうけどね。

余談ですが、汎用の2N2222では10mW程度までが限界です。更に、かなり熱くなりますので、2N2222を使用する場合は多少の熱逃がしは必要になります。回路変更もアリでしようけど、5Vと言う厳しい環境なのと、たったの10mW出力でかなり熱くなる時点で、それ以上の回路的な工夫は見込めません。

一個で駄目なら二個、の巻ぃぃ~(o→ܫ←)b☆


パラレルに繋いでしまうと良いでしょう。何だったら3つくらい繋いでも良いかもですわね。その場合、各トランジスターのバラツキにより、一つのトランジスターに負荷が集中しないように、制限抵抗を10Ωくらい入れたりしちゃって、お茶を濁しましょう。

ただ、USBを電源としている事を忘れて、2N2222を20個繋いで、尚且つバイアス10Kを2.2Kとかに下げて、めっちゃ出力出るぜひゃっほい、ってするのはお奨め出来ません。USBで使用可能なのは実質的には400mAまでです。

(写真では15KΩを使用していますが、計算値は10KΩです)

LPFまで搭載した完成写真です。私はSMD(表面実装部品、チップ部品)が好きですので、インダクターである100nHもチップ部品を使用しています。