一応は過去にもAmp ICを使用した物はそこそこ作ったりしています。と言うより元々は機能ICと言うものが大好きな傾向にありますので、それゆえか、機器にICが使用されていない物に対してはちょっと物足りなさを感じてしまう私だったりします。決してディスクリートが嫌いと言うわけではないですよ。なので私がアンプを作るとしますと、あんまり見かけない機能を搭載したりする傾向にありますわね。例えばですが、
Bass Boost : 低音増強
Bass Phase Exciter : 低音増強せずに低音を増強させる
ALC : 所謂コンプリミッター
2Phase Stereo Enhancer : 簡単に言うとサラウンド
Auto In Selector : 入力セレクター
2Way Output Filter : ウーハー1つ、その他2つの出力
3band Tone Control :低音、中音、高音の調整
Meter : 音に合わせてLED又は針が触れるやつ
MP3 Decoder : ついでに簡単に音楽聴けるように内臓
意識的なのではありませんが、真面目に、しかもディスクリートでオーディオアンプを設計する事が無い理由としては、実は元々がピュアオーディオ志向では無いのと、仮にそれを作ったとしても外部にそれを伝える事が出来ない点であります。つまり、素晴らしい音のアンプを作ったとします。それがどんなに素晴らしいのかを一律に皆様に伝える手段は、その機器を持ってオフ会などに集ってもらうくらいしかありません。そういった理由もあり、オーディオアンプのみを真面目に設計、又は製作する事はありませんでした。と言うか今後もたぶん有りません。唯一外部にそれを発信できる事としましては、所謂外観に拘って、つまりはビジュアル面だけなのですよね。ぶっちゃけ、エンクロージャーだけを拘って作り、中身がラジオ基板を適当に入れて、さもアンプを作ったかのように見せても一応は通用してしまうわけです。
そして
更にこの系統で伝えづらい物として
スピーカー。
これも自作される人が居るのですが、単に木枠を組んでスピーカーユニットを収めて、「作りました」とアピールされているブログなどを見かけますが、正直そこから伝わるのは、ビジュアル面だけなのです。よく表現されるのは、
「ボーカルが前面に出て、ピアノの倍音が心地よく、今まで聞こえなかったコンサートホールのアンビエント感まで再現している」
とても気持ちは分かります。頑張って表現されているのだと思います。がしかし、結局はそれらは抽象的な表現でしかなく、具体的にどういう音なのか、ってのは伝わりません。少なくともスピーカーの場合は、仮に全く同じ設計で作られたスピーカーだとしても、それを設置している部屋によっても音が違ってきます。
そういう意味もあってか、以前はこの分野の実店舗ショップでは視聴コーナーがあり、中には視聴部屋まで独自に用意している店舗もありました。
私がピュアオーディオにはあんまり真面目に向き合わないのはこういう際限ない拘りなのです。つまり、行き着く先が見えてこないわけです。音を究極に追求していく場合、「コンサートの音をそのままに」と言うアンプ製品などに見かけるキャッチフレーズ。これも気持ちは分かりますがそれってアンプだけでどうにかなる物ではなく、必ずアウトプット、つまりは空気を振動させて人間の耳に届けるスピーカーによります。まあそれは置いといて、「コンサートの音をそのままに」ってのを突き詰めて行くとぶっちゃけますと、本物のコンサートに行き着いてしまうわけです。完全に生楽器がそこにはあり、もはやオーディオの世界ではなくなります。
マニアの中には、コンサートホールを実際に建築し、そこにオーディオシステムをぶち込んで究極の音を手に入れた人も居ますけど、それでも生演奏とは違います。
と言う感じで、ピュアオーディオ趣向の方を否定はしませんが、私にとってのピュアオーディオと言うのは実は存在しておりません。有る程度は理工学系であるからなのかもしれませんが、ケーブル一つの違いによって音が変わる、っておっしゃる人が居ます。実は私はあれについては懐疑的だったりします。実際には音は変わります、測定器で確認すれば。ただ、フィーリングテストなどで目隠しをし、ケーブルの違いを明確に当てる事が出来る人以外は本物では無いっていう考え方であります。そりゃそうです。目で見て今接続されているケーブルが何かを把握してのフィーリングテストなどは無意味ですからね。ワインのテイスティングと同様、ワインならば舌に触れた感触のみでそれがどのようなワインかを当てるのと一緒で、オーディオの場合は耳だけでそれらを当てる事が出来なければ、そういう人に高価に機器が必要なのかしら、といった疑問も生まれるのです。とは言ってもオーディオの世界は実質的には音だけが主体ではなく、アンプ機器のフォルム、真空管式ならばフィラメントの暖かな光、メーター、などなど、目で見て楽しむのも趣向としては有りますのでね。なので私の疑問とするのは、音だけに拘っている人に対しての以上のような疑問だったのであります。